ネイルチップをネットやサロンで売ったお金も、確定申告で計算に入れる「売上」です。売上・経費・年末の在庫の3つを押さえれば、手数料や送料もきちんと経費にできます。
「サロンのお客様に頼まれてチップを作った」「ハンドメイドサイトで販売を始めた」というネイリストさんは増えています。施術とは別のお金の流れなので、どう申告すればいいか迷いやすいところです。
この記事では、税金の知識がなくても分かるように、ネイルチップ販売のお金の数え方を順番に説明します。年末が近づくこの時期に読んでおくと、在庫の数え方まで落ち着いて準備できます。
ネイルチップ販売の売上も確定申告の対象です
税金は、売上そのものではなく「もうけ」にかかります。このもうけを、税金の世界では「所得」と呼びます。
計算はシンプルで、「売上 − 経費 = 所得」です。ネイルチップの販売代金も、この売上に含まれます。国税庁も、事業の所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算すると説明しています。
ここで大切なのは、売上が手元に入った金額と同じとは限らないことです。ハンドメイドサイトでは、販売手数料などが引かれてから入金されることがよくあります。それでも売上として記録するのは、手数料が引かれる前の販売価格です。手数料は、別に経費として記録します。
本業か副業かで、申告の考え方が変わります
ネイリストとして独立している方と、会社員をしながらチップを売っている方では、申告の入口が少し違います。
- ネイルの仕事で事業として申告している方:チップ販売もネイルの仕事に関係する売上として、施術の売上と一緒に計算するのが一般的です
- 会社員などで、副業としてチップを売っている方:国税庁は、副業でもうけを目的に続けている収入を「業務に係る雑所得」の例として説明しています
どちらの場合でも「売上 − 経費」でもうけを出す点は同じです。区分に迷うときは、帳簿をつけているか、どのくらいの規模で続けているかなどで判断が変わるため、早めに相談すると安心です。
会社員の「20万円」の目安は、もうけで判断します
会社員の方には「20万円以下なら確定申告はいらない」という話がよく出てきます。国税庁の案内では、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる人は、給与以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則いりません。
注意したいのは、この20万円は売上ではなく、経費を引いたあとの「もうけ」で判断する点です。また、ほかの副収入があれば合計して考えます。
さらに、住民税は別のルールです。横浜市や広島市などは、給与以外の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない人も、住民税の申告が必要だと案内しています。お住まいの市区町村の案内もあわせて確認しましょう。
ネイリストの働き方別に見る、チップ販売の影響
同じチップ販売でも、働き方によって気をつけるポイントが変わります。よくある3つのケースを表にまとめました。
| 働き方 | チップ販売の扱い | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| ホームサロン(自宅サロン) | 施術の売上と一緒に、事業の売上として計算するのが一般的 | サロンで使うジェルと、販売用チップに使う材料を分けて記録する |
| サロン業務委託・シェアサロン | 業務委託の報酬とは別に、自分で売った分を売上に足す | サロンの報酬明細には載らないので、自分で販売記録を残す |
| 会社員の副業 | 業務に係る雑所得として計算するのが一般的 | もうけが20万円以下でも、住民税の申告が必要な場合がある |
業務委託で働くネイリストさんは、サロンから受け取る報酬明細だけを見て申告しがちです。ハンドメイドサイトでの売上はその明細に出てこないため、申告から漏れやすいので注意しましょう。
数字で見る、チップ販売のもうけ
イメージしやすいように、仮の数字で計算してみます。1セット4,000円のチップを、1年間で60セット売った例です。
| 項目 | 金額(仮の例) |
|---|---|
| 売上(4,000円×60セット) | 240,000円 |
| 材料費(年間の購入80,000円 − 年末に残った材料20,000円) | 60,000円 |
| 販売手数料(仮に売上の1割とした場合) | 24,000円 |
| 送料・梱包材 | 18,000円 |
| もうけ(所得) | 138,000円 |
売上は24万円でも、経費を引くともうけは13万8,000円です。会社員の副業で、ほかに副収入がなければ、所得税の確定申告は原則いらない計算になります。ただし、住民税の申告は別に必要になる場合があります。
反対に、経費の記録がないと、もうけを正しく計算できません。手数料や送料はレシートが出ないこともあるので、販売サイトの売上画面や明細を毎月保存しておきましょう。
売上と経費の数え方|手数料・送料・材料費
ここからは、実際に記録するときのルールを見ていきます。むずかしい言葉は使わずに説明します。
売上は「売れた日」の年に入れます
国税庁は、12月20日に商品を売って代金を翌年1月10日に受け取った場合、売った年の収入になると説明しています。お金が振り込まれた日ではなく、売れた日で考えるのが基本です。
ハンドメイドサイトでは、売れてから振り込まれるまで時間がかかることがあります。12月に売れて1月に入金された分は、売れた年の売上に入れましょう。
自分で使ったり、プレゼントしたチップにも注意
意外と知られていないのが、販売用の商品を自分で使ったり、友人に贈ったりした場合です。国税庁は、商品を自分で使ったり贈ったりしたときも、売ったものとして扱い、原則として通常の販売価格を収入にすると説明しています。
販売用に作ったチップを自分の撮影用に使ったときなどは、どう記録するか迷いやすいポイントです。数が多い場合は、自己判断せずに相談しましょう。
チップ販売で経費にしやすいもの
販売のために使ったお金は、経費として売上から引けます。ネイリストさんのチップ販売でよく出てくるものをまとめました。
- 材料:チップ台、ジェル・ポリッシュ、ストーン・パール・ネイルシールなどのパーツ
- 販売にかかるお金:ハンドメイドサイトの販売手数料、振込手数料
- 発送にかかるお金:送料、ケース・袋・緩衝材などの梱包材
- 見せ方にかかるお金:商品撮影用の背景シートや小物、チップスタンド
- 道具:筆、ネイルマシン、UVライトなど(施術と共用なら使う割合で考える)
道具は、1つ10万円未満なら買った年にまとめて経費にできます。10万円以上のものは、何年かに分けて経費にするのが原則です。ほかの経費の例はネイリストの経費一覧でも紹介しています。
一方で、自分のネイルのためだけに買ったものなど、販売と関係のない出費は経費になりません。販売用と自分用が混ざる材料は、買った時点で分けておくと後が楽です。
年末の在庫|作り置きチップと残ったパーツの数え方
チップ販売ならではのポイントが、年末の在庫です。材料をまとめ買いすると、年をまたいで使うことがよくあります。
国税庁の青色申告の手引きでは、売れた商品にかかった費用(売上原価)を次の式で計算すると説明しています。
売上原価 = 年初の在庫 + 1年間の仕入れ − 年末の在庫
つまり、1年間に買った材料が全部その年の経費になるわけではありません。12月31日の時点で残っている作り置きのチップや未使用のパーツは「在庫」として差し引き、翌年に回します。同じ手引きでは、消耗品も年末に残っている分を同じ考え方で計算すると説明されています。
在庫の金額の決め方
在庫の金額の計算方法は、税務署に届け出ることで選べます。届け出をしていない場合は「最終仕入原価法」という方法になると、国税庁の手引きに書かれています。
最終仕入原価法は、年末にいちばん近い時期に買ったときの単価で、残っている数を計算する方法です。たとえば同じチップ台を何回か買っていたら、最後に買ったときの1個あたりの値段に、残りの個数をかけます。
在庫を数えるのが大変そうに感じるかもしれません。ですが、販売用チップの完成品と、まとめ買いしたパーツだけでも数えておくと、申告がぐっと正確になります。
今からできる準備チェックリスト
年末までに、次のことを確認しておきましょう。1つずつ進めれば、申告の時期に慌てずに済みます。
- 販売サイトの売上明細を、1月から月ごとに保存する
- サロンで手渡しで売った分も、日付・金額・数量をメモする
- 売上は手数料を引く前の金額で記録し、手数料は経費として記録する
- 材料・梱包材・送料のレシートや購入履歴を残す
- 販売用の材料と、施術用・自分用の材料を分けて管理する
- 12月31日時点の作り置きチップと未使用パーツの数を数える
- 会社員の方は、もうけが20万円以下でも住民税の申告が必要か確認する
レシートの整理が苦手な方は、専門家に任せる方法もあります。当サイトは、税理士が運営するネイリスト専門の確定申告サービスです。運営の考え方は運営者情報をご覧ください。
よくある質問
フリマアプリで、使わなくなった自分のネイル用品を売りました。これも売上ですか?
国税庁は、普段の生活で使っていた古着や家財などを売ったもうけには、税金がかからないと説明しています。一方で、販売するために作ったネイルチップは、生活用品の売却とは扱いが違います。仕事で使っていた道具を売った場合も考え方が変わるため、迷ったら相談してください。
チップ販売の売上が少なくても、帳簿は必要ですか?
売上が少なくても、もうけを計算するには売上と経費の記録が必要です。販売サイトの明細と、材料や送料のレシートを残しておけば、最低限の計算はできます。ネイルの仕事で事業として申告している方は、施術の売上と同じ帳簿にまとめて記録しましょう。
チップ販売の売上も、消費税の判定に入りますか?
入ります。個人の場合、2年前の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税を納める必要はありません。この売上には、施術の売上もチップの売上も含めて考えます。インボイスの登録をしている方は、売上の金額にかかわらず消費税の申告が必要です。
※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。
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