ネイリストの内装費|自宅サロンの減価償却2026

オープン前のネイルサロンで、ネイリストが新しい照明と壁の棚を見上げている水彩イラスト。サロンの内装と減価償却をイメージした挿絵。

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サロンの内装工事や施術チェアは、支払った年に全額を経費にできるとはかぎりません。10万円・20万円・40万円という3つのラインと、国税庁が定める「耐用年数」で扱いが変わります。

ホームサロンを開いたり、テナントを借りてお店を構えたりすると、まとまったお金が動きます。壁紙を張り替え、照明を入れ替え、施術チェアとワゴンをそろえる。領収書の合計を見て「これで今年は経費がたくさん出たから税金は安くなるはず」と思った方も多いはずです。

ところが実際は、そのとおりにならないことがあります。金額が大きいものは「何年かに分けて少しずつ経費にする」という決まりがあるからです。これを減価償却(げんかしょうきゃく)といいます。

この記事では、ネイリストのサロンづくりでよく出てくる支出を例に、どれがその年の経費で、どれが何年に分かれるのかを整理します。賃貸物件の内装、自宅サロンの按分(あんぶん)まで順番に見ていきましょう。

サロンの内装や備品は「払った年に全額経費」とはかぎりません

国税庁は、建物・建物附属設備・器具備品などを「減価償却資産」と呼んでいます。時間がたつと価値が減っていくもの、という意味です。

これらを買ったお金は、買った時に全額が経費になるのではなく、使える期間の全体にわたって分けて経費にしていくもの、とされています。その「使える期間」として法律で決められた年数が、法定耐用年数です。

ただし、金額が小さいものまで何年も分けていたら大変です。そこで、次の3つのラインが用意されています。

1つあたりの金額できる扱い
10万円未満その年の経費に全額入れる(使える期間が1年未満のものも同じ)
10万円以上20万円未満一括償却資産として、合計額の3分の1ずつを3年間に分けて経費にできる
10万円以上40万円未満青色申告をしている人は、1年で合計300万円に達するまで全額を経費にできる
上のどれにも当てはまらない耐用年数にわたって分けて経費にする

3つめの「40万円未満」は青色申告者向けの特例です。国税庁の説明では、平成18年4月1日から令和11年3月31日までに取得した10万円以上40万円未満のものが対象で、令和8年(2026年)3月31日までに取得したものは10万円以上30万円未満が対象とされています。1年の合計は300万円までです。

金額の判定でもうひとつ大事なのが、消費税の扱いです。国税庁は「取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります」と示しています。消費税を納めていない免税事業者は、税込の金額で判定することになります。ジェルやファイルなど日々の材料費の考え方はネイリストの経費一覧もあわせて確認してみてください。

ネイリストのサロンづくり|何が何年になるかの目安

では、実際の年数を見ていきます。国税庁が公開している耐用年数表から、ネイルサロンに関係しやすいものを抜き出しました。

建物附属設備(お店に取り付ける設備)

細目耐用年数
店用簡易装備3年
電気設備(照明設備を含む)のうち、その他のもの15年
給排水・衛生設備、ガス設備15年
アーケード・日よけ設備のうち、主として金属製のもの15年
アーケード・日よけ設備のうち、その他のもの8年

器具・備品(サロンに置くもの)

細目耐用年数
理容・美容機器5年
応接セットのうち、接客業用のもの5年
その他の家具のうち、接客業用のもの5年
陳列だな、陳列ケースのうち、その他のもの8年
カーテン、座ぶとん、寝具その他これらに類する繊維製品3年
じゅうたんその他の床用敷物のうち、小売業用・接客業用など3年
冷房用・暖房用機器6年

お客様をお迎えするネイルサロンは、接客業として扱われる場面が多くなります。待合いのソファやサロン用のチェアが「接客業用」に当たれば5年、ラグやカーテンは3年、といったイメージです。

どの区分に当てはまるかは、そのものの実際の使い方で判断します。上の表に載っていないものもたくさんありますので、判断に迷うときは国税庁の耐用年数表を確認するか、税務署や専門家に聞くのが確実です。

なお、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備は、償却のしかたが定額法のみとされています。毎年同じ金額ずつ経費にしていく方法だ、と覚えておけば十分です。

借りた物件に内装を入れたとき|造作の考え方

テナントやマンションの一室を借りてサロンにする場合、建物そのものは自分のものではありません。それでも壁を作ったり、床を張ったり、カウンターを造り付けたりします。これを「造作(ぞうさく)」といいます。

国税庁の通達(耐用年数の適用等に関する取扱通達1−1−3)は、建物を借りて自分のために造作した場合の考え方を次のように示しています。

  • 造作が建物についてされたときは、その建物の耐用年数、造作の種類・用途・使用材質などを考えて、合理的に見積もった年数で償却する
  • 造作が建物附属設備についてされたときは、建物附属設備の耐用年数で償却する
  • ただし、賃借期間の定めがあって更新ができず、かつ有益費の請求や買取請求ができないものは、その賃借期間を耐用年数として償却することができる

「合理的に見積もった年数」と聞くと自由に決められそうに思えますが、そうではありません。同じ通達の注書きでは、同一の建物についてした造作は、その全てを一つの資産として償却するため、耐用年数は造作全部を総合して見積もることに留意する、とされています。壁紙は3年、造作棚は8年、と細かくバラバラに分けるものではない、ということです。

ただし書きの「賃借期間を耐用年数にできる」は、条件がそろったときだけの取り扱いです。更新できる契約であれば、通常は当てはまりません。まずは契約書を開いて、期間の定めがあるか、更新できるか、退去時の原状回復や造作の買取りがどう書かれているかを確かめてください。

シェアサロンの席を借りて働いている場合は、自分で壁や床に手を入れることはあまりありません。その場合は造作の話にはならず、持ち込んだワゴンや道具の金額で判断していくことになります。

自宅サロンの内装は「按分」が必要です

ホームサロンの場合、内装工事は自宅の工事でもあります。ここで出てくるのが家事関連費という考え方です。

国税庁は、家事上の経費と一緒になっている支出について、必要経費になるのは「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」と説明しています。つまり、サロンのために使った分だけを、根拠をもって切り出す必要があります。

実際の場面に置き換えると、こう考えられます。

  • 施術スペースだけに入れた照明やダクト工事は、業務に使う部分がはっきりしています
  • 玄関からリビングまで共通で使う部分の工事は、面積や使う時間などの基準で分ける必要があります
  • 分ける基準は、後から自分で説明できるものにしておきます

注意したいのは、按分するのは支払った金額ではなく、毎年の減価償却費だという点です。たとえば工事費のうちサロン部分が60%なら、その年に計算した償却費の60%が経費になります。

もうひとつ、必要経費に入れる時期にも決まりがあります。国税庁は、その年に債務が確定した金額が必要経費になる、としています。支払いが翌年でも、その年のうちに金額が確定していれば、その年の経費として扱う考え方です。工事代金を分割で払っているときに混乱しやすいところなので、請求書の日付を残しておきましょう。

計算のしかたと、申告までのチェックリスト

定額法での1年分の償却費は、次の式で計算します。

その年の償却費=取得価額 × 定額法の償却率

年の途中で使い始めた場合は、上の金額を12で割って、その年に業務で使っていた月数を掛けます。国税庁の償却率表では、定額法の償却率は耐用年数3年で0.334、5年で0.200、8年で0.125、15年で0.067とされています。

例1:施術チェアを30万円で購入し、9月から使い始めた

理容・美容機器として耐用年数5年、償却率0.200とすると、1年分は300,000円×0.200=60,000円です。9月から12月までの4か月使ったので、60,000円÷12×4か月=20,000円が、その年の経費になります。

例2:照明の設置工事に45万円かかり、4月から使い始めた

電気設備(照明設備を含む)のその他のものとして耐用年数15年、償却率0.067とすると、1年分は450,000円×0.067=30,150円です。4月から12月までの9か月分なので、30,150円÷12×9か月で約22,600円になります。45万円を払っても、その年の経費はこの金額にとどまる、というのが減価償却の実感しにくいところです。

なお、最後の年は帳簿の上で1円だけ残します。国税庁の説明でも、最終年の償却費は期首の帳簿価額から1円を差し引いた金額とされています。売ったり捨てたりするまで、その1円は帳簿に残り続けます。

やっておきたいことリスト

  • 工事の見積書・請求書・領収書を、金額の内訳がわかる形で保管する
  • 「照明工事」「給排水工事」「造作棚」のように、何にいくらかかったかを分けておく
  • 買った日ではなく、サロンで使い始めた日(オープン日)を記録しておく
  • 賃貸物件なら、契約期間・更新の可否・原状回復の条件を契約書で確認する
  • 自宅サロンなら、サロン部分の面積や使う時間をメモに残す
  • 40万円未満の特例を使うなら、青色申告をしていることが前提になる
  • 青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に、1つずつ書き出す

内装や設備は金額が大きいぶん、扱いを間違えると翌年以降の数字にもずっと影響します。当サイトは税理士が運営するネイリスト専門の確定申告サービスとして、運営者情報のページで方針を公開しています。

よくある質問

開業する前に払った内装工事も経費にできますか。

開業前に支払ったものでも、サロンで使う設備であれば対象になります。ポイントは、経費として計上が始まるのが「業務に使い始めたとき」だという点です。国税庁は、年の途中で使い始めた場合は、その年に業務で使っていた月数で月割りすると示しています。3月に工事を終えて6月にオープンしたなら、6月からの7か月分になる、という考え方です。なお、開業前の支出は開業費としてまとめる方法もあり、どちらで扱うかは中身や金額で変わります。判断に迷うときは税務署か専門家に確認してください。

中古のネイルデスクや施術チェアを買った場合はどうなりますか。

中古品には、新品とは別に耐用年数の決め方が定められています。国税庁の耐用年数の通達にも「中古資産の耐用年数」という項目が設けられており、新品と同じ年数にはならないことがあります。フリマアプリや同業の方から譲り受けたチェアなども同じです。金額が大きい場合は、購入前に扱いを確認しておくと安心です。

40万円未満なら、必ずその年に全額を経費にできますか。

いいえ、条件があります。まず青色申告をしていることが前提です。そのうえで、1年間の合計が300万円に達するまでという上限があります。対象は令和11年(2029年)3月31日までに取得したもので、令和8年(2026年)3月31日までに取得したものは30万円未満が対象とされていました。また、金額の判定は自分の経理のしかたによって変わり、消費税の免税事業者は税込の金額で判定します。最新の内容は国税庁のサイトで確認してください。

※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

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