ネイリストのフリーランス法|業務委託で守られること2026

ネイリストの業務委託とフリーランス法をイメージした、サロンの窓辺でスマホを確認するネイリストの水彩イラスト

カテゴリ:

サロンから業務委託を受けるネイリストは、2024年11月に始まった「フリーランス法」で守られる立場になりました。報酬の条件を書面やメッセージで受け取れているか、今のうちに確認しておきましょう。

この記事では、法律の正式名称や条文番号をできるだけ使わずに、ネイリストの働き方に当てはめて説明します。「報酬が後から減らされた」「契約を急に打ち切られた」といったトラブルを防ぐための考え方と、今日からできるチェックの手順をまとめました。

フリーランス法とは?ネイリストに関係する理由

フリーランス法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。厚生労働省などのパンフレットでは「フリーランス・事業者間取引適正化等法」とも呼ばれ、2024年11月1日から施行されています。

目的は、個人で仕事を受けるフリーランスが安心して働ける環境を整えることです。大きく分けて「取引のルール(報酬や条件の決め方)」と「働く環境のルール(ハラスメント対策など)」の2本立てになっています。

対象になるのは「従業員を雇っていない個人」

この法律で守られるフリーランスは、従業員を雇わずに1人で仕事を受けている個人などです。ここでいう「従業員を雇う」とは、週20時間以上かつ31日以上働く見込みの人を雇うことを指します。同居している家族だけを手伝わせている場合は、従業員を雇っていることにはなりません。

会社員として働きながら、副業で業務委託のネイルの仕事を受けている人も対象に含まれます。

対象になる取引・ならない取引

対象になるのは「事業者からフリーランスへの業務委託」です。ネイリストの働き方に当てはめると、次のように整理できます。

働き方フリーランス法の対象か理由
サロンから業務委託で施術を受ける対象になる事業者(サロン)からの業務委託だから
ホームサロン(自宅サロン)でお客様に施術する対象外お客様は事業者ではなく消費者だから
出張ネイルで個人のお客様に施術する対象外同じく消費者との取引だから
イベント会社から出張ネイルの依頼を受ける対象になり得る事業者からの業務委託にあたる場合がある
ネイルチップを不特定多数に販売する対象外業務委託ではなく売買だから

厚生労働省のパンフレットには、ネイルサロンがネイリストに施術を委託する例がそのまま載っています。サロン業務委託で働くネイリストは、まさにこの法律が想定している働き方です。

シェアサロンで席を借りる契約は、ネイリストが料金を払って場所を借りる形が多く、サロンから仕事を任される業務委託とは形が違います。どちらに当たるかは契約の中身で決まるため、迷ったら契約書を確認しましょう。

なお、契約書の名前が「業務委託」でも、実態として雇われて働く人(労働者)と判断される場合は、労働基準法などの労働のルールが使われます。

サロン業務委託のネイリストが守られる7つのポイント

サロン側に課される主なルールを、ネイリストの目線で7つにまとめました。ルールによって、サロンの規模や契約期間の条件が少しずつ違います。

1. 条件は必ず書面やメッセージで受け取れる

サロンは業務委託をしたら、すぐに取引の条件を書面か電子的な方法で示さなければなりません。口約束だけでは足りません。このルールは、従業員を雇っていない1人オーナーのサロンも対象です。

電子的な方法には、メール、SNSのメッセージ、チャットツールなどが含まれます。LINEのような相手を特定して送るメッセージで条件を受け取ることも認められています。

示すべき主な項目は次のとおりです。

  • サロンとネイリスト双方の名前(屋号など)
  • 業務委託をした日
  • 任される仕事の内容(例:店舗でのジェルネイル施術)
  • 仕事をする日や期間
  • 仕事をする場所(店舗名など)
  • 仕事の内容をチェックする場合は、その完了日
  • 報酬の額と支払期日
  • 現金以外で支払う場合は、その支払方法

具体的な金額を最初に示すのが難しい事情がある場合は、金額が自動的に決まる計算方法(例:施術売上の○%)を示すことも認められています。電子的な方法で受け取った後でも、ネイリストが書面を求めれば、原則として書面を交付してもらえます。

2. 報酬は60日以内に支払われる

従業員を雇っているサロンは、ネイリストが施術をした日から数えて60日以内の、できるだけ早い日を支払期日に決める必要があります。そして、その期日までに支払わなければなりません。

「毎月末日締め、翌月末日払い」のような月ごとの締め方も認められています。一方で「○日以内に払う」「○日までに払う」のように、具体的な日が決まらない書き方は支払期日とは認められません。

3. 報酬の後からの減額は禁止

3と4は、従業員を雇っているサロンが、1か月以上続く業務委託をしている場合のルールです。

ネイリストに責任がないのに、最初に決めた報酬を後から減らすことは禁止されています。厚生労働省のパンフレットには、ネイルサロンが「店内の内装を充実させるための協力金」として、報酬から一定の割合を差し引いた例が違反例として載っています。名目や金額にかかわらず、こうした減額は認められません。

4. 不当に安い報酬・購入の押しつけも禁止

このほか、次のような行為も禁止されています。

  • 相場と比べて著しく低い報酬を、十分に話し合わずに一方的に決めること(買いたたき)
  • 正当な理由がないのに、サロンが指定する商品やサービスの購入を強制すること
  • ネイリストに責任がないのに、施術の内容を変えさせたり、やり直させたりすること
  • サロンのために、金銭や無償の作業などを提供させること

たとえば、仕上がりの品質をそろえるために特定のジェルを使うよう求めることは、正当な理由と判断される場合があります。一方で、仕事と関係のない商品を買わせるのは問題になり得ます。自分で材料を買っている人は、その費用が経費になることも覚えておきましょう。経費になるものはネイリストの経費一覧で確認できます。

5. 契約終了は30日前までに予告される

従業員を雇っているサロンが、6か月以上続く業務委託を途中で解除したり、更新しなかったりする場合は、少なくとも30日前までに予告しなければなりません。最初は短い契約でも、更新を重ねて6か月以上になる場合も含まれます。

予告を受けた日から契約が終わるまでの間に、ネイリストが理由を求めれば、サロンは原則として理由を伝える必要があります。ただし、災害などやむを得ない事情がある場合や、ネイリスト側に責任がある場合など、予告が不要になる例外もあります。

6. 妊娠・出産・育児・介護への配慮

従業員を雇っているサロンは、6か月以上の業務委託について、ネイリストから申し出があれば、育児や介護などと仕事を両立できるよう必要な配慮をしなければなりません。たとえば、子どもの急な病気で予約枠を調整したいといった相談が考えられます。配慮ができない場合は、その理由を説明する必要があります。

7. ハラスメントの相談窓口が用意される

従業員を雇っているサロンは、業務委託のネイリストに対するセクハラ・パワハラなどを防ぐため、相談に対応する体制を整えなければなりません。相談したことを理由に、契約を打ち切るなどの不利益な扱いをすることも禁止されています。

また、求人サイトやSNSで業務委託のネイリストを募集するときは、うそや誤解を招く内容を載せてはいけないというルールもあります。実際より高い報酬を書くことなどがこれに当たります。

今日からできるチェックリストと困ったときの相談先

法律で守られていても、条件が書面に残っていなければトラブルのときに話し合いが難しくなります。次のチェックリストで、今の契約を見直してみましょう。

契約内容のチェックリスト

  • 報酬の条件(固定額か歩合か、歩合なら何%か)が書面やメッセージで残っている
  • 支払期日が「毎月○日締め、翌月○日払い」のように具体的な日で決まっている
  • 施術から60日を超えて支払われている報酬がない
  • 最初の条件にない「協力金」「備品代」などが報酬から引かれていない
  • 契約期間と更新の有無が書面で確認できる
  • 材料を誰が負担するか(サロンか自分か)がはっきりしている
  • ハラスメントの相談窓口が知らされている

書面はそのまま確定申告にも役立つ

条件が書かれた書面やメッセージは、トラブル防止だけでなく、確定申告のときにも役立ちます。毎月の報酬明細と合わせて保存しておけば、1年間の売上を正しく集計できます。

報酬明細の金額と、実際に振り込まれた金額が違う場合は、何が差し引かれているのかを確認しましょう。説明のない差し引きがあれば、それ自体が確認すべきサインです。

困ったときの相談先

違反が疑われる場合は、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省(各都道府県の労働局)に申し出ることができます。報酬や取引のルールは公正取引委員会と中小企業庁、ハラスメントなど働く環境のルールは厚生労働省が担当しています。

「法律違反かどうかよく分からない」という段階なら、「フリーランス・トラブル110番」も使えます。弁護士にワンストップで相談でき、和解のあっせんや、行政機関への申し出の支援も行っています。連絡先は厚生労働省や公正取引委員会のホームページで確認してください。

報酬の受け取り方や経費の整理など、税金の面で不安があるときは、税理士が運営するネイリスト専門の確定申告サービスである当サイトにご相談ください。運営者については運営者情報をご覧ください。

よくある質問

サロンが従業員のいない1人オーナーの場合も、この法律は関係ありますか?

関係します。条件を書面やメッセージで示すルールは、従業員を雇っていない発注者も対象です。ただし、60日以内の支払いや報酬減額の禁止などのルールは、従業員を雇っているサロンが対象になります。

LINEで条件を送ってもらっただけでも大丈夫ですか?

相手を特定して送るメッセージであれば、条件を示す方法として認められています。ただし、トーク履歴が消えると確認できなくなるため、スクリーンショットを保存しておくと安心です。書面がほしい場合は、サロンに交付を求めることもできます。

ホームサロンのお客様とのトラブルにも使えますか?

使えません。フリーランス法は事業者からフリーランスへの業務委託が対象で、個人のお客様(消費者)との取引は対象外です。お客様とのトラブルは、キャンセル規定などをあらかじめ示しておくことで防ぎましょう。

※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

まずは無料相談から

「自分の場合いくらになるのか」だけでも構いません。公式LINEで無料相談を受け付けています。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です