ネイリストの勘定科目|ジェル代・席代の分け方2026

ネイリストの勘定科目のイメージ。ジェルボトルや筆、白紙のレシートを木製の小引き出しに仕分ける手元の水彩イラスト

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ジェル代は「消耗品費」、シェアサロンの席代は「地代家賃」。ネイリストの経費の勘定科目は、国税庁の一覧表をもとに10個ほど覚えれば迷わなくなります。

帳簿をつけ始めると、多くのネイリストさんが「このレシートは何費?」で手が止まります。ジェルやポリッシュ、検定の受講料、予約アプリの月額料金など、ネイルの仕事には一般的な科目名と結びつけにくい支出が多いからです。

この記事では、国税庁が公開している「一般的な必要経費の一覧表」をもとに、ネイリストがよく使う勘定科目と分け方の目安をまとめました。10月のうちに科目を決めておくと、年末と確定申告の作業がぐっと楽になります。

勘定科目とは?経費を分ける「引き出しの名前」

勘定科目は、お金の使い道ごとにつける「引き出しの名前」のようなものです。ジェル代は「消耗品費」の引き出し、電車代は「旅費交通費」の引き出し、という具合に分けて記録します。

確定申告のときは、この引き出しごとの1年間の合計を、青色申告なら「青色申告決算書」、白色申告なら「収支内訳書」に書き写します。国税庁の青色申告決算書の書き方でも、経費欄には経費帳の科目ごとの金額を記入すると説明されています。

科目を間違えると税金が変わる?

申告書では、経費は最後に合計されます。そのため、仕事に必要な経費であれば、どの科目に入れても経費の合計額そのものは同じです。「消耗品費か雑費か」で悩んで手が止まるくらいなら、まずは記録を残すことを優先しましょう。

ただし、次の2つは科目の選び方で税金の計算が変わるので注意が必要です。

  • 高い機材を買ったとき:国税庁の一覧表では、使える期間が1年以上で10万円以上の機材は、原則として「減価償却費」として何年かに分けて経費にします。10万円以上20万円未満なら3年で均等に経費にする方法、青色申告なら40万円未満(2026年3月31日までの取得は30万円未満)をその年にまとめて経費にできる特例もあります。
  • 経費にならないもの:所得税・住民税、国民健康保険税、国民年金の保険料、罰金や交通違反の反則金などは、どの科目に入れても経費になりません。

もう一つ大切なのが「毎年同じ科目に入れる」ことです。ジェル代を今年は消耗品費、来年は雑費と入れ替えると、前の年と比べたときに数字の変化が読み取れなくなります。

ネイリストがよく使う勘定科目と具体例

国税庁の「一般的な必要経費の一覧表」に載っている科目の説明に、ネイリストの支出を当てはめると次のようになります。具体例は、よくある分け方の目安です。

勘定科目国税庁の一覧表での説明(要約)ネイリストの具体例
消耗品費文房具などの消耗品、使える期間が1年未満か10万円未満の道具ジェル、ポリッシュ、ファイル、ワイプ、筆、ニッパー、ネイルパーツ、UVライト(10万円未満)
減価償却費建物・機械・器具備品などの償却費10万円以上のネイルマシン、集塵機、施術用チェア
地代家賃店舗などを借りている場合の家賃などシェアサロンの席代、自宅サロンの家賃(サロン部分)
水道光熱費水道料、電気代、ガス代など自宅サロンの電気代・水道代(サロン部分)
旅費交通費電車賃、バス代、タクシー代、宿泊代出張ネイルの電車代、サロン掛け持ちの移動費
通信費電話料、切手代、インターネット接続料スマホ代・自宅Wi-Fi代(仕事で使う割合分)
広告宣伝費広告費用、チラシ、名入りの記念品などショップカード、チラシ印刷、SNS広告、予約サイトの掲載料
接待交際費取引先の接待や贈答の費用サロンオーナーへの手土産、取引先との打ち合わせの飲食代
損害保険料火災保険料、自動車の損害保険料サロン部分の火災保険料、施術の賠償責任保険料
修繕費店舗・機械などの修理代ネイルマシンの修理代、サロンの壁紙の補修
租税公課事業税、印紙税などの税金、同業者団体の会費など領収書に貼った収入印紙、事業税、業界団体の年会費
雑費他の経費に当てはまらない経費年に数回しか出てこない少額の支出

スマホ代や自宅の電気代のように、仕事と生活の両方で使うものは、仕事で使った割合の分だけが経費になります。国税庁も、業務に必要だったことがはっきり区分できる部分に限ると説明しています。それぞれの経費の詳しい考え方は、ネイリストの経費一覧にまとめています。

一覧表にない支出は「自分で科目を作る」

青色申告決算書の経費欄には、決まった科目名のほかに、自分で科目名を書き込める空欄があります。白色申告の収支内訳書にも、項目名を書ける欄があります。ネイリストなら、次のような科目を作るとわかりやすくなります。

  • 研修費:JNECネイリスト技能検定やJNAジェルネイル技能検定の受験料、技術セミナーの受講料
  • 支払手数料:予約管理アプリの月額料金、カード決済の手数料、振込手数料
  • 材料費:ジェルやパーツの金額が大きい場合に、消耗品費から分けて管理したいとき

空欄の数には限りがあるので、作る科目は2〜3個にしぼるのがおすすめです。また、雑費は便利ですが、雑費の金額が大きくなると何に使ったのかが見えにくくなります。毎月のように出てくる支出は、専用の科目を作りましょう。

ネイルチップを販売している場合

ネイルチップやケア用品を商品として販売している場合、売るために仕入れたものは「仕入」として、施術に使う材料とは分けて記録します。年末に売れ残った商品は、在庫として数えて計算する「棚卸し」が必要です。

施術用のジェルなどの消耗品も、年末に使っていない分は本来棚卸しの対象です。ただし国税庁の決算の手引きでは、普段の年と比べて特に増えていない消耗品は、棚卸しを省略しても差し支えないとされています。

「仕入」と「消耗品費」はどう違う?

「仕入」は、お客様に売るための商品を買ったときに使う科目です。一方、施術で使ってなくなるジェルやワイプは、商品として売るわけではないので消耗品費に入れるのが一般的です。施術だけをしているネイリストなら、仕入の科目を使わないケースも多いでしょう。

例えば、施術用に1本3,000円のジェルを買ったら消耗品費、販売用のネイルオイルを10本仕入れたら仕入、というように「施術で使うか、そのまま売るか」で分けると迷いません。

働き方別、迷いやすい支出の分け方

同じネイリストでも、働き方によって出てくる支出が違います。迷いやすいものを働き方別に整理しました。

サロン業務委託のネイリスト

サロンの道具を使う場合は、経費の中心は自分で買う筆やファイル、練習用のジェル、通勤以外の移動費、検定の受験料などです。サロンオーナーに渡すお礼の手土産は、接待交際費に入れるのが自然です。

シェアサロンのネイリスト

席やブースを借りる料金は、店舗を借りる費用なので地代家賃にまとめるとわかりやすくなります。予約サイトの掲載料は広告宣伝費、予約システムの利用料は支払手数料、と分けておくと、集客にいくらかかっているのかが見えます。

ホームサロン(自宅サロン)のネイリスト

家賃、電気代、インターネット代などは、生活とサロンの両方に使っています。サロンとして使っている面積や時間などをもとに割合を決め、その分を地代家賃・水道光熱費・通信費に入れます。決めた割合と理由はメモに残しておきましょう。

出張ネイルのネイリスト

お客様のご自宅や施設までの電車代・バス代・タクシー代は旅費交通費です。ICカードの利用履歴を印刷するか、日付・行き先・金額をメモしておくと、あとで説明しやすくなります。持ち運び用のキャリーケースが10万円未満なら消耗品費に入れられます。

年末までに済ませたい勘定科目のチェックリスト

10月から12月のうちに、次の5つを確認しておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。

  1. 自分の科目リストを作る:上の表から使う科目を選び、研修費・支払手数料など自分で作る科目を決めます。
  2. 1月からの記録を見直す:同じ支出が月によって別の科目に入っていないか確認します。
  3. 雑費の中身を確認する:雑費に何度も出てくる支出があれば、専用の科目に移します。
  4. 10万円以上の買い物を確認する:ネイルマシンや家具など、10万円以上の機材を消耗品費に入れていないか見直します。
  5. 経費にならない支出を外す:国民年金・国民健康保険、所得税・住民税の支払いが経費に入っていないか確認します。国民年金・国民健康保険は経費ではなく「社会保険料控除」として申告書に書きます。所得税・住民税は経費にも控除にもなりません。

白色申告の人も、収支内訳書を書くために科目ごとの合計が必要です。「白色だから帳簿はいらない」ということはなく、売上と経費の記録・保存は白色申告でも求められています。

会計ソフトを使っている場合は、ソフトが科目を自動で提案してくれることもあります。提案された科目が自分のルールと合っているかを、月に一度確認するだけでも十分です。

よくある質問

ジェルは「消耗品費」と「材料費」のどちらにすればいいですか?

どちらでも構いません。青色申告決算書には「材料費」という決まった欄がないため、消耗品費に入れるとシンプルです。材料代を分けて把握したい場合は、空欄に「材料費」を作ります。大切なのは、毎年同じ科目に入れ続けることです。

途中で科目を間違えていたことに気づきました。どうすればいいですか?

申告前であれば、帳簿の科目を正しいものに直せば大丈夫です。経費の合計が変わらない科目の入れ違いなら、税額は変わりません。ただし、10万円以上の機材を消耗品費に入れていた場合は、減価償却の計算が必要になることがあります。

自分のネイル代は何費になりますか?

自分のおしゃれのためのネイルは生活費なので、どの科目にも入れられません。作品撮りのサンプルや技術練習など、仕事に必要だったと説明できる場合に限って経費になります。使った目的をメモしておきましょう。

このコラムは、税理士が運営するネイリスト専門の確定申告サービスが、国税庁の公開資料をもとに作成しています。

※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

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