ネイリストの自宅サロン|持ち家の住宅ローン控除2026

自宅サロンのネイルルームの広さをメジャーで測るネイリスト。持ち家の住宅ローン控除と経費の按分を考えるイメージ。

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持ち家の一室をネイルルームにすると、家にかかるお金の一部を経費にできる一方で、住宅ローン控除が減ってしまうことがあります。分かれ目は「仕事に使う割合が家全体のおおむね1割を超えるかどうか」です。

自宅の一部屋をネイルルームにして、ホームサロンを開くネイリストが増えています。賃貸なら家賃の一部を経費にする、という話で済みます。ところが持ち家でローンを返済中の場合は、もう一つ考えることが出てきます。それが住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)です。

「経費が増えるならうれしい」と思って部屋を広く事業用に登録したら、住宅ローン控除が数万円減ってしまった。そんなことが実際に起こります。この記事では、持ち家でホームサロンを開くネイリストが知っておきたいルールを、国税庁の情報にもとづいて整理します。

持ち家で自宅サロンを開くと、税金の何が変わる?

変わることは、大きく2つあります。

  1. 家にかかるお金の一部を経費にできるようになります。建物の減価償却費、固定資産税、火災保険料、ローンの利息、電気代や水道代などです。
  2. 住宅ローン控除が減ることがあります。この控除は「住んでいる部分」に対するものなので、仕事に使う部分が大きくなると、その分だけ控除も小さくなります。

つまり、経費は増えるけれど控除は減る、という関係になります。どちらも金額が変われば手取りが変わりますから、両方を見たうえで判断する必要があります。

なお、賃貸のアパートやマンションでホームサロンをしている場合、住宅ローン控除の話は関係ありません。家賃のうち仕事に使う分を経費にする、という考え方になります。賃貸の場合の按分(あんぶん)の考え方や、そのほかネイリストが経費にできるものはネイリストの経費一覧にまとめています。

住まいの種類家まわりで経費にできる主なもの住宅ローン控除への影響
賃貸家賃、共益費、火災保険料、電気代など関係なし
持ち家(ローン返済中)建物の減価償却費、固定資産税、火災保険料、ローンの利息、電気代など仕事に使う割合によっては減ることがある
持ち家(ローン完済)同上(利息はなし)関係なし

住宅ローン控除は「住んでいる部分の割合」で計算する

まず、住宅ローン控除そのものをおさらいします。国税庁によると、令和4年1月1日から令和12年12月31日までに住み始めた場合、控除額は「年末残高等×0.7パーセント」です。控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であることなどの要件もあります。なお床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅には、別の所得要件が定められています。

床面積は「登記事項証明書」の数字で見る

控除を受けるには、床面積が50平方メートル以上で、そのうち2分の1以上を自分が住むために使っていることが必要です。この床面積は、登記事項証明書(登記簿)に表示されている数字で判断します。そしてネイルルームのような店舗・事務所部分も含めた建物全体の床面積で見ます。「ネイルルームを除いた面積」ではありません。

仕事に使う部分がおおむね1割までなら、控除は満額

ここが一番大事なところです。家の中に住む以外の用途で使っている部分があると、控除の対象になるのは住んでいる部分に対応する借入金だけになります。ただし例外があります。国税庁の通達(措置法関係通達41-29)では、住んでいる部分の床面積が家屋全体のおおむね90パーセント以上であるときの扱いが決められています。この場合は、全部を住んでいる部分として控除を適用できます。

言いかえると、ネイルルームとして使う部分が家全体のおおむね1割までに収まっていれば、住宅ローン控除は減りません。1割を超えると、超えた分だけではなく、実際に仕事で使っている割合に応じて控除が計算されることになります。

数字で見るとこうなります

延床面積100平方メートルの一戸建て、年末のローン残高2,000万円というネイリストAさんの例で考えてみます(分かりやすくするための仮の数字です)。

ネイルに使う部分住んでいる部分の割合控除のもとになる残高控除額(0.7パーセント)
8平方メートル(約5畳の一室)92パーセント2,000万円(全額)14万円
15平方メートル(施術スペース+待合)85パーセント1,700万円11万9,000円
25平方メートル(1階をほぼサロンに)75パーセント1,500万円10万5,000円

8平方メートルなら住んでいる部分が92パーセントで、おおむね90パーセント以上にあたるため控除は満額です。ところが待合スペースまで広げて15平方メートルにすると、控除は年2万1,000円減ります。これが10年続けば21万円の差です。

ただし控除には借入限度額(控除のもとにできる残高の上限)があり、住宅の種類や住み始めた年によって変わります。残高が上限を超えている方は、割合を掛けても控除額がそれほど変わらないこともあります。ご自身の年の限度額は国税庁のサイトで必ず確認してください。

また、住み始めたあとで一部屋をネイルルームに変えた場合の細かい取り扱いは、状況によって異なります。判断に迷うときは税務署か専門家に確認しましょう。

持ち家のホームサロンで経費にできるもの・できないもの

持ち家の場合、自分に家賃を払うことはできません。代わりに、家そのものにかかっている費用のうち仕事に使っている分を経費にします。

家庭用と仕事用の両方にかかわる費用を、家事関連費といいます。国税庁はこれについて、「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」と説明しています。例として挙げられているのが、まさに店舗併用住宅の租税公課・家賃・水道光熱費です。なんとなく半分、では通りません。

経費にできるもの(仕事で使う割合の分だけ)

  • 建物の減価償却費…建物は買った年に全額を経費にはできず、決められた年数で分けて経費にしていきます。自宅を途中から仕事にも使い始めた場合は計算方法が特殊なので、専門家に確認するのが安全です。
  • 固定資産税・都市計画税…国税庁は「固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります」としています。
  • 住宅ローンの利息…「業務のための借入金の利息は必要経費になります」とされています。経費にできるのは利息の部分だけで、返済額そのものではありません。
  • 火災保険料・地震保険料…建物にかけている保険のうち、仕事で使う部分。
  • 電気代・水道代…ジェルライトや集塵機、手洗いやタオルの洗濯で使う分。
  • ネイルルーム専用の設備…施術用のチェア、ワゴン、集塵機、照明など。こちらは家事関連費ではなく、仕事専用なら全額が対象です。

経費にできないもの

  • 住宅ローンの元金の返済額…経費になるのは利息の部分です。
  • 土地の購入代金…土地は時間がたっても価値が減らないものとされ、減価償却の対象になりません。
  • 生計を一にする家族に払う家賃…たとえば同居している親の家の一室でサロンをして、親に「家賃」を払っても経費にはなりません。ただし、その建物にかかる固定資産税などを自分が負担していれば、仕事に使う分を経費にできます。
  • 所得税・住民税…これらは経費になりません。
  • プライベートで使う部分…リビングや寝室の分は当然ながら対象外です。

事業割合の決め方と、残しておく資料

「うちのネイルルームは何割?」を決める手順は次のとおりです。難しく考えず、説明できる形にすることがゴールです。

  1. 建物全体の床面積を確認する。登記事項証明書や、家を買ったときの図面を見ます。
  2. ネイルに使っている部分の面積を測る。施術スペース、お客様の待合、材料のストック棚までを実際にメジャーで測ります。
  3. 使う時間も考える。ふだんは家族が使うダイニングを、週3日だけ施術に使っているケースもあります。この場合は面積だけでなく、使用日数や時間も合わせて考えるほうが実態に近くなります。
  4. 計算の根拠をメモに残す。「延床100平方メートルのうちネイルルーム8平方メートル、週5日使用のため事業割合8パーセント」といった1枚の紙で十分です。
  5. 毎年同じ基準で計算する。年によって割合がころころ変わると、説明が難しくなります。部屋の使い方を変えた年だけ、理由とともに見直します。

残しておきたい資料チェックリスト

  • 登記事項証明書、または家の図面(面積が分かるもの)
  • 事業割合の計算メモ
  • ネイルルームの写真(施術チェアやライトが置かれている様子)
  • 固定資産税の納税通知書
  • 住宅ローンの返済予定表(利息の金額が分かるもの)
  • 電気・水道の検針票や支払明細
  • 予約表(どの日にお客様が来たかが分かるもの)

ここで一つ注意があります。「住宅ローン控除を減らしたくないから、事業割合は5パーセントにしておこう」といった決め方は避けてください。割合は実際の使い方にもとづいて決めるものです。家の3分の1をサロンにしているのに1割と申告するのは、事実と違う申告になります。

逆に言えば、ネイルルームが本当に一部屋だけなら、住んでいる部分は9割以上になることが多く、控除が減らないケースも珍しくありません。まずは測ってみることをおすすめします。

家を売るときにも「おおむね90パーセント」が効いてくる

もう一つ、将来のために知っておきたい話があります。マイホームを売って利益が出たとき、一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除が使えます。ところが、住居と店舗が一緒になっている建物は扱いが違います。国税庁は、店舗併用住宅を売ったときにこの特例を使えるのは自分が住んでいた部分に限られるとしています。

そしてここでも、住んでいた部分が全体のおおむね90パーセント以上であれば、全体を住んでいた部分として特例を適用できる、と説明されています。住宅ローン控除と同じ「おおむね90パーセント」というラインです。

いま家を売る予定がなくても、頭の片隅に置いておくと安心です。サロンとして使う面積を広げるかどうかを考えるとき、目の前の経費だけでなく、住宅ローン控除と将来の売却まで見て決められるようになります。

なお、住宅ローンの契約では、借りたお金で買った家の使い方について取り決めがあることがあります。自宅の一部をサロンにする前に、借入先の金融機関にも確認しておくと安心です。当サービスの考え方や体制については運営者情報をご覧ください。

よくある質問

賃貸マンションでホームサロンをしています。この記事の内容は関係ありますか?

住宅ローン控除の部分は関係ありません。賃貸の場合は、家賃や共益費のうち仕事で使っている割合の分を経費にします。事業割合の決め方や資料の残し方は、賃貸でも同じ考え方が使えますので参考にしてください。

ダイニングテーブルで週2日だけ施術しています。事業割合はどう決めますか?

専用の部屋がない場合は、面積に加えて使っている時間や日数を組み合わせて考えます。国税庁は、家庭用と仕事用が混ざった費用について「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」としています。まずダイニングの面積のうち、施術に使うスペース分を出します。そこに週7日のうち2日という割合を掛ける、といった計算の筋道をメモに残しておきましょう。

住宅ローン控除が減るなら、経費にしないほうが得ですか?

得か損かは金額を比べないと分かりません。減る控除額と、経費が増えることで減る所得税・住民税・国民健康保険料を並べて比較します。ただし、どちらが有利かで割合を決めるのではなく、実際の使い方にもとづいて割合を出し、その結果を確認するという順番が正しい考え方です。金額の比較が難しいときは専門家に相談してください。

※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

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