ネイリストの無申告|今からできる期限後申告2026

ネイリストの無申告と期限後申告をイメージしたカレンダーとネイル用品のイラスト

カテゴリ:

確定申告をしていないネイリストの方へ。税務署から連絡が来る前に自分から申告すれば、上乗せされる税金は原則5パーセントで済みます。

「業務委託でサロンに入っているけれど、一度も確定申告をしたことがない」「開業して2年目だけど、去年の分を出しそびれた」。ネイリストの方から、こうしたご相談をいただくことがあります。

結論からお伝えすると、いちばん損をするのは「気づいているのに放置すること」です。期限を過ぎてしまった申告は「期限後申告(きげんごしんこく)」として今からでも提出できます。そして、税務署から連絡が来る前に自分から出したかどうかで、上乗せされる税金の額が何倍も変わります。

この記事では、国税庁の情報をもとに、無申告のままだと何が起きるのか、今から出す場合はいくら上乗せされるのか、そして具体的に何から手をつければいいのかを、専門用語を使わずに整理しました。

そもそも「無申告」とはどういう状態か

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の収入と経費をまとめて、翌年の決められた期間に税務署へ報告する手続きです。国税庁によると、2025年分(令和7年分)の申告の受付は2026年2月16日から3月16日まででした。この期間内に申告書を出していなければ、その年分は「無申告」の状態になります。

ネイリストの場合、次のようなケースで無申告になりやすい傾向があります。

  • サロンとの契約が業務委託で、報酬から税金が引かれていないため「引かれていないなら申告もいらない」と思っていた
  • シェアサロンやホームサロン(自宅サロン)を始めたばかりで、開業初年度の手続きが分からなかった
  • 出張ネイルや副業として少額から始めたので、申告が必要な金額かどうか判断できなかった
  • レシートや報酬明細を整理できておらず、数字が出せないまま期限が過ぎてしまった

大切なのは、「わざとではない」場合も無申告として扱われるという点です。ただし、わざとではない方が、後からのペナルティは軽く済みます。だからこそ、気づいた時点ですぐ動くことに意味があります。

自分から出せば5パーセント、調査のあとだと最大30パーセント

期限後申告の無申告加算税の割合が段階的に上がることを表したイラスト

期限後申告をすると、本来納める所得税に加えて「無申告加算税(むしんこくかさんぜい)」という上乗せの税金がかかります。これは罰金のようなもので、いつ申告したかによって割合が変わります。

国税庁のタックスアンサー「No.2024 確定申告を忘れたとき」に、次のように示されています。

いつ申告したか上乗せされる割合(納める税金に対して)
税務署の調査の事前通知が来る前に、自分から申告した5パーセント
調査の事前通知が来た後、調査で決められる前に申告した50万円までの部分は10パーセント/50万円超300万円までは15パーセント/300万円超は25パーセント
調査を受けた後に申告した、または税務署に金額を決められた50万円までの部分は15パーセント/50万円超300万円までは20パーセント/300万円超は30パーセント

※上の段階的な割合は、2024年1月1日以後に申告期限が来るもの(2023年分=令和5年分以降)についての取り扱いです。

ネイリストの場合で考えてみる

たとえば、業務委託サロンでの報酬と指名売上を合計した1年分の売上から、ジェル・ポリッシュ代、ネイルマシンやUVライトの購入費、筆やニッパー代、交通費などの経費を差し引いて計算した結果、納める所得税が20万円だったとします。

  • 自分から期限後申告した場合:20万円の5パーセントで1万円の上乗せ
  • 調査を受けた後に申告した場合:20万円の15パーセントで3万円の上乗せ

差は2万円です。これはジェルやパーツを何回か仕入れられる金額です。しかも、この上乗せは経費にはできません。動くタイミングが早いほど、手元に残るお金は多くなります。

さらに国税庁は、申告期限から1か月以内に自分から申告し、納める税金の全額を法定納期限までに納めていて、かつ過去5年間に無申告加算税などを課されていないなどの要件をすべて満たす場合は、無申告加算税がかからないとしています。期限を数日過ぎただけなら、すぐ出せばゼロで済む可能性があるということです。

納めるのが遅れた分だけ「延滞税」もかかる

無申告加算税とは別に、納付が遅れた期間に応じて「延滞税(えんたいぜい)」もかかります。こちらは罰金というより、遅れた日数分の利息に近いものです。

国税庁が公表している延滞税の割合は、2026年(令和8年)1月1日から12月31日までの期間について、次のとおりです。

  • 納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間:年2.8パーセント
  • その後の期間:年9.1パーセント

ポイントは、2か月を過ぎると割合が3倍以上に跳ね上がることです。ちなみに2025年(令和7年)中の割合は、それぞれ年2.4パーセントと年8.7パーセントでした。割合は毎年見直されるため、実際に計算するときは国税庁のサイトで最新の割合をご確認ください。

なお、期限後申告の場合は、申告書を提出した日がそのまま納期限になります。「申告書だけ先に出して、お金は後で」とはならないので、申告と納付はセットで考えておきましょう。

青色申告の65万円控除が使えなくなる、という見落としがちな損

ネイリストが期限後申告に向けて帳簿とレシートを整理するイメージのイラスト

上乗せの税金より地味ですが、実はこちらのほうが金額として大きくなることがあります。青色申告特別控除の話です。

国税庁のタックスアンサー「No.2072 青色申告特別控除」では、55万円および65万円の控除を受けるための要件として、その年の確定申告期限までに申告書を提出することが挙げられています。つまり、期限を過ぎてから出した年分については、55万円や65万円の控除は使えません。

青色申告の承認を受けていても、期限後申告になると10万円の控除にとどまります。差額の55万円に対する所得税と住民税を考えると、影響は数万円から十数万円規模になることもあります。無申告加算税の5パーセントより、こちらのほうが痛いというケースは珍しくありません。

裏を返せば、「今年の分は必ず期限内に出す」ことが、いちばん確実な節税になります。どこまでが経費になるのかを先に把握しておくと、期限内の申告がぐっと楽になります。ネイリストの経費についてはネイリストの経費一覧にまとめていますので、あわせてご覧ください。

今日からできる期限後申告の5ステップ

「何年分あるか分からない」「レシートも残っていない」という状態でも、順番に進めれば形になります。次の5ステップで進めてみてください。

ステップ1:申告していない年分を書き出す

開業した年から今までを紙に書き出し、申告した年に丸をつけます。丸がついていない年が対象です。何年分さかのぼって出す必要があるかはケースによって変わるため、判断に迷う場合は所轄の税務署か税理士に確認してください。

ステップ2:売上が分かるものを集める

  • サロンからの報酬明細や振込がある通帳の記録
  • シェアサロンやホームサロンの予約管理アプリの売上データ
  • 現金でいただいた分のメモや手帳
  • キャッシュレス決済アプリの入金履歴

通帳の入金記録は年単位でまとめて確認できるので、いちばん取りかかりやすい入口です。

ステップ3:経費が分かるものを集める

ジェルやポリッシュ、ネイルチップやパーツ、筆やニッパー、ネイルマシン、UVライト、集塵機、検定やセミナーの受講料、サロンまでの交通費など、仕事のために使ったお金の記録を集めます。レシートが残っていなくても、クレジットカードの明細やネット通販の注文履歴から拾えることがあります。

ステップ4:年ごとに集計して申告書を作る

集めた数字を年ごとにまとめ、売上から経費を引いて所得を計算します。申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成でき、e-Taxでの送信や印刷しての提出ができます。過去の年分の様式や作成方法は、所轄の税務署に確認するのが確実です。

ステップ5:申告と同時に納付する

期限後申告は提出した日が納期限です。納付が遅れるほど延滞税が増えていくので、申告のタイミングで納められるよう、あらかじめ資金を用意しておきましょう。

なお、源泉徴収されていた報酬がある方や、経費のほうが多かった年がある方は、逆にお金が戻る(還付)ケースもあります。国税庁によると、還付申告書はその年の翌年1月1日から5年間提出することができます。「出したら取られるだけ」とは限りません。

よくある質問

何年も申告していません。今さら出しても大丈夫ですか?

はい、出せます。国税庁も「期限内に確定申告を忘れた場合でも、その事実を把握した際には、できるだけ早く申告するように」と案内しています。

むしろ、税務署からの調査の事前通知が来る前に自分から出すほうが、上乗せされる無申告加算税は5パーセントで済みます。放置している間も延滞税は増え続けるため、早く動くほど負担は小さくなります。

サロンから報酬をもらうとき、税金が引かれていません。それでも申告が必要ですか?

業務委託として受け取る報酬は、給与とは違う扱いです。あらかじめ税金が引かれているかどうかと、確定申告が必要かどうかは、別の話だと考えてください。

報酬明細に「源泉徴収税額」の欄がなく差し引きもされていない場合は、1年分をご自身で計算して申告し、納めることになります。ご自身のケースで必要かどうか迷う場合は、報酬明細と通帳を手元に置いてご相談ください。

赤字だった年も申告したほうがいいですか?

納める所得税がない年は、無申告加算税もかかりません。ただし、申告しておくメリットはあります。

青色申告の承認を受けている方は、赤字を翌年以降に繰り越せる仕組みがあります。また、所得を証明する書類が必要になる場面(保育園の手続きや住宅の契約など)で、申告書の控えが役に立ちます。判断に迷う年がある場合は、まとめて確認するのが確実です。

※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

まずは無料相談から

「自分の場合いくらになるのか」だけでも構いません。公式LINEで無料相談を受け付けています。

税理士が運営するネイリスト専門の確定申告サービスとして、何年分あるか分からない状態からのご相談も承っています。サービスの考え方については運営者情報もご覧ください。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です