ネイリストの国民健康保険|保険料の決まり方と軽減2026

ネイリストの国民健康保険をイメージした、自宅サロンの窓辺で書類を確認するネイリストの水彩イラスト

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業務委託やホームサロンで働くネイリストの多くは、国民健康保険(国保)に入ります。保険料は「前の年のもうけ」で決まるため、確定申告のやり方しだいで金額が変わります。2026年度の変更点とあわせて、仕組みを確認しておきましょう。

ネイリストの国民健康保険とは?保険料の決まり方

サロンの正社員やパートとして社会保険に入っていた人も、業務委託やシェアサロン、ホームサロンで独立すると、原則として住んでいる市区町村の国民健康保険に入ります。保険料は市区町村ごとに決められていて、同じ所得でも住む場所によって金額が違います。

多くの市区町村では、国保の保険料はおおまかに次の部分を足し合わせて計算します。

  • 所得割:前の年の所得に応じてかかる部分
  • 均等割:加入している人数に応じてかかる部分
  • 平等割:1世帯ごとにかかる部分(設けていない市区町村もあります)

さらに、医療の分、後期高齢者支援金の分、40歳から64歳の人には介護の分が上乗せされます。2026年度(令和8年度)からは、これに「子ども・子育て支援金」の分が新しく加わりました。

所得割は「前の年の所得-43万円」が基準

所得割のもとになる金額は、多くの市区町村で「前の年の所得の合計から43万円を引いた金額」です。この43万円は住民税の基礎控除と同じ額です。所得税の基礎控除は2025年分から引き上げられましたが、国保の計算ではこの43万円が使われるので、混同しないようにしましょう。

ここでいう所得は、売上そのものではありません。「売上-経費-青色申告特別控除」で計算した金額です。つまり、ジェルやポリッシュ代などの経費をきちんと計上し、青色申告をすると、国保の保険料のもとになる金額も下がります。

いつの所得で計算されるのか

国保の保険料は、4月から翌年3月までの「年度」ごとに決まります。2026年度の保険料は、2025年1月から12月までの所得をもとに計算されています。そして、今年2026年の所得は、2027年度の保険料に反映されます。

つまり、2027年3月15日までに行う2026年分の確定申告が、来年度の国保の保険料を決める材料になります。年末に向けて、今年の経費のレシートや報酬明細をそろえておくことが、そのまま来年の保険料の正しい計算につながります。

2026年度に変わったこと

2026年度の国保には、次のような変更がありました。お住まいの市区町村の案内で、実際の料率を確認してください。

  • 子ども・子育て支援金の分が新しく加わった(18歳未満の子どもの均等割は全額軽減され、その分は18歳以上の加入者が負担する仕組み)
  • 所得の少ない世帯の保険料を下げる「5割軽減」「2割軽減」の基準額が引き上げられた
  • 1年間の保険料の上限額(賦課限度額)が見直された

ネイリストの働き方で保険料はどう変わる?具体例

ここでは、ネイリストによくあるケースで、保険料のもとになる金額がどう動くかを見てみます。金額は計算の流れを示すための例で、実際の保険料は市区町村の料率で決まります。

例:業務委託サロンとホームサロンを掛け持ちするAさん

Aさんはひとり暮らしで、2025年は業務委託サロンの報酬と自宅サロンの売上が合わせて400万円ありました。経費は、ジェル・ポリッシュ代、ネイルマシンやUVライト、検定の受講料、自宅サロンの家賃の按分などで100万円です。

項目白色申告の場合青色申告(65万円控除)の場合
売上400万円400万円
経費100万円100万円
青色申告特別控除なし65万円
所得300万円235万円
所得割のもとになる金額(所得-43万円)257万円192万円

同じ売上と経費でも、青色申告にするだけで所得割のもとになる金額が65万円下がります。所得割の料率は市区町村によって違いますが、もとになる金額が下がれば、その分保険料も下がります。なお、65万円の控除を受けるには、e-Taxで申告するなどの要件があります。

経費にできるものを漏らさないことも大切です。ネイリストが経費にしやすいものはネイリストの経費一覧にまとめています。

所得が少ない年は「軽減」の対象になることも

開業したばかりの年や、出産・育児で施術を減らした年など、所得が少ないときは均等割と平等割が7割・5割・2割のいずれかで軽減されます。2026年度の判定基準は次のとおりです。

軽減の割合世帯の所得の合計がこの金額以下なら対象
7割軽減43万円+10万円×(給与所得者等の数-1)
5割軽減43万円+31万円×加入者数+10万円×(給与所得者等の数-1)
2割軽減43万円+57万円×加入者数+10万円×(給与所得者等の数-1)

たとえば、ひとり暮らしで給与や年金の収入がなく、ネイルの事業所得だけのネイリストなら、所得が74万円以下で5割軽減、100万円以下で2割軽減の目安になります。(「10万円×(給与所得者等の数-1)」は、給与所得者等が2人以上いる世帯で加算されます。)

この軽減は、自分から申し込まなくても自動で判定されるのが一般的です。ただし、世帯全員の所得が市区町村にわかっていることが前提です。所得がゼロに近くても確定申告や住民税の申告をしていないと、軽減されずに高い保険料のままになることがあります。

出産するときは4か月分の保険料が軽減される

国保に入っている人が出産するときは、出産予定月の前月から4か月分(双子以上なら6か月分)の所得割と均等割が軽減される制度があります。2024年1月から始まった制度で、妊娠85日以上の出産が対象です。届出は出産予定日の6か月前からでき、出産後の届出も可能です。国民年金にも同じ時期の保険料の免除制度があるので、あわせて市区町村の窓口で手続きしましょう。

指名売上が伸びた年は翌年度の保険料に注意

指名のお客様が増えて売上が大きく伸びた年は、翌年度の国保の保険料も上がります。保険料は後からまとめて請求されるため、もうけが出た年のうちに、所得税や住民税とあわせて国保の分もよけておくと安心です。売上の一部を別の口座に移しておく方法が手軽です。

サロンを辞めて業務委託になるときの選び方

サロンの社員を辞めて業務委託やシェアサロンで働き始める場合、健康保険には主に3つの選択肢があります。

選択肢主な条件ポイント
国民健康保険ほかの健康保険に入らない人保険料は前年の所得で決まる。退職の翌日から加入
任意継続(会社の健康保険を続ける)退職日までに継続して2か月以上加入していた人。退職日の翌日から20日以内に申出最長2年。在職中は会社と折半していた保険料が全額自己負担になる
家族の扶養に入る家族の健康保険の基準を満たす人保険料の負担なし。基準は家族の加入先で確認

退職した年の所得が高かった人は、翌年度の国保の保険料が高くなりやすいので、任意継続の保険料と比べて決めるのがおすすめです。任意継続の申出は20日以内と短いため、退職前から比較しておきましょう。

独立した最初の年は、事業の売上が少なくても国保の保険料は前の年の給与で計算されます。開業したてで手元のお金が少ない時期に、思ったより高い保険料が届くことがあるので、資金の準備をしておくと安心です。

国保の保険料を正しく抑えるチェックリスト

国保の保険料は「下げる裏ワザ」があるわけではなく、正しく申告して、使える制度を漏らさないことが基本です。次の項目を確認してみましょう。

  • ジェル・ポリッシュ代、ネイルチップ・パーツ、筆やニッパーなどの材料・道具代を、レシートを残して経費に入れている
  • ネイルマシン・UVライト・集塵機など高い機材は、金額に応じて正しく減価償却している
  • 自宅サロンの家賃や電気代は、使っている割合で按分して経費にしている
  • 青色申告の届出をして、65万円の控除を受けられるようにしている
  • 所得が少ない年でも、確定申告または住民税の申告を必ずしている
  • 出産予定がある場合は、国保と国民年金の産前産後の届出をしている
  • 払った国保の保険料を、確定申告で「社会保険料控除」に入れている

最後の項目も大切です。国税庁によると、その年に支払った国民健康保険料(国民健康保険税)は全額が社会保険料控除の対象です。所得税と翌年の住民税が下がるので、1年間の支払額がわかるように、領収書や口座の引き落とし記録を保管しておきましょう。

また、災害や事業の休止などで所得が大きく減った場合に、保険料を減らしたり猶予したりする制度を設けている市区町村もあります。支払いが難しいときは、滞納する前に市区町村の国保窓口に相談してください。

よくある質問

国保の保険料は経費にできますか?

国保の保険料は事業の経費にはなりません。その代わり、確定申告で「社会保険料控除」として全額を差し引けます。同じ世帯の家族の分を支払った場合も、自分が支払っていれば控除の対象になります。

売上が少なくて確定申告がいらない年も、申告したほうがいいですか?

はい、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告はしておくのがおすすめです。所得がわからないと国保の軽減が判定されず、本来より高い保険料になることがあります。どちらの申告をすればよいか迷ったら、市区町村の窓口で確認しましょう。

引っ越すと国保の保険料は変わりますか?

変わることがあります。国保の料率や上限額は市区町村ごとに決められているためです。ホームサロンの移転などで住所が変わる場合は、新しい市区町村の料率を確認し、14日以内に加入の手続きをしましょう。

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※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

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