ネイリストの開業1年目|税金カレンダー2026

ネイリストの開業1年目の税金を考える机の上のジェルライトと電卓とネイル用品

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ネイリストとして独立した1年目は、税金の請求が「あとからまとめて」やってきます。この記事では、開業1年目に出ていくお金と、2年目に届く支払いを、月ごとの流れで整理します。

開業1年目は「税金があとから来る」年です

サロンを辞めて独立した1年目、「思っていたよりお金が残った」と感じる方は少なくありません。売上から材料費や席代を引いた分が、そのまま手元に入ってくるからです。

ただし、これは税金が安いわけではありません。開業1年目は、支払いのタイミングが後ろにずれているだけです。

理由は3つあります。ひとつめは、所得税は1年分をまとめて翌年の確定申告で納める仕組みだからです。ふたつめは、住民税が前年の1月1日から12月31日までの所得で計算されるからです(総務省)。みっつめは、国民健康保険料も前の年の所得が反映されるためです。

その結果、開業1年目にがんばって稼いだ分の請求書は、2年目の春から夏にかけて一気に届きます。ここを知らずに使い切ってしまうと、2年目に資金が足りなくなります。

税金・保険開業1年目2年目以降
所得税翌年の確定申告でまとめて納める同じ(金額が増えると予定納税も)
住民税開業した年の売上に対する分は届かない6月ごろから納め始める
国民健康保険料前の年の所得で計算される開業1年目の所得が反映される
国民年金保険料月額17,920円(令和8年度)同じ(年度ごとに見直し)
消費税原則としてかからない条件を満たすとかかる

ネイリストの開業1年目、毎月出ていくお金

開業1年目のネイリストが税金の支払いに備えてお金を3つの封筒に分けて取り分けている様子

まず、1年目に実際に出ていくお金を並べてみます。人によって差はありますが、ネイリストの場合はおおむね次の顔ぶれです。

  • シェアサロンの席代、業務委託サロンに支払う場所代
  • ジェル、カラーポリッシュ、ベース・トップ、アセトン、ファイル
  • ネイルチップ、ストーン、パーツ、フォーム
  • 筆、ニッパー、プッシャー、UVライト、ネイルマシン、集塵機
  • 予約管理アプリの利用料、スマートフォンの通信費
  • 国民年金保険料、国民健康保険料

10万円が、その年に全部落とせるかどうかの分かれ目

買ったものをその年の経費にできるかどうかは、値段で決まります。取得価額が10万円未満のもの、または使える期間が1年未満のものは、その全額をその年の必要経費にできます(国税庁)。

ジェルもファイルも筆も、ほとんどはここに入ります。一方、施術チェアや高価なネイルマシン、集塵機などで10万円以上のものは、何年かに分けて経費にしていく形になります。開業時にまとめて買った機材ほど、1年目に全額は落とせないと考えておきましょう。

何が経費になるかを一覧で確かめたい方は、ネイリストの経費一覧もあわせてご覧ください。

開業前に使ったお金は「開業費」として残せます

お店を開ける前に使ったお金も、あきらめなくて大丈夫です。開業の準備のために特別に支出した費用は「開業費」として扱えます。

開業費の経費への振り分け方には、60か月の均等償却と任意償却の2つがあります。任意償却には下限が設けられていないため、支出した年に全額を経費にしてもよく、まったく経費にしなくてもかまいません(国税庁の質疑応答事例)。

これはネイリストにとって、とても使いやすい仕組みです。お客様がまだ少ない1年目はあえて経費にせず、指名が増えて利益が出た年にまとめて経費にする、という選び方ができるからです。

そのために大切なのは、開業前のレシートを捨てないことです。内装、什器、施術用のワゴン、開業前の講習代、チラシやショップカードの制作費などが対象になり得ます。ただし、支出の内容と金額を、あとから説明できるようにしておく必要があります。

1年目に出す書類と、その期限

開業1年目に出す紙は、実はそれほど多くありません。ただ、期限を1日でも過ぎると取り返しがつかないものが1枚あります。

開業届の期限は2026年から変わりました

2026年1月1日以後に開業した場合、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」になりました(国税庁)。以前より、かなり余裕ができています。

気をつけたいのは青色申告承認申請書のほうです

一方、青色申告承認申請書の期限は変わっていません。その年の1月16日以後に事業を始めた場合は、事業を開始した日から2か月以内に提出する必要があります(国税庁)。

ここを逃すと、1年目は白色申告になります。青色申告特別控除は、複式簿記で記帳したうえでe-Taxで申告するか優良な電子帳簿を保存する場合に最高65万円、そうでない場合は55万円、簡易な記帳では10万円です(国税庁)。1年目の65万円をまるごと落とすことになるため、開業届と青色申告承認申請書は一緒に出してしまうのが安全です。

たとえば9月1日にホームサロンを開いたなら、10月中に2枚そろえて提出しておけば確実です。開業届の期限だけを見て後回しにすると、青色申告の期限のほうが先に来てしまいます。

帳簿とレシートは1年目から

青色申告では、帳簿を原則7年、書類は種類によって5年または7年保存します(国税庁)。むずかしく考えず、月ごとに封筒を分けてレシートを入れておくだけでも、翌年の申告がぐっと楽になります。

書類期限
開業届開業した年分の確定申告期限まで(2026年1月1日以後の開業)
青色申告承認申請書原則その年の3月15日まで。1月16日以後の開業は開業日から2か月以内
帳簿原則7年間の保存
レシート・請求書など種類によって5年または7年の保存

2年目に届く「あとから払い」の3つ

開業2年目に届く所得税と住民税と国民健康保険料の支払いを示すカレンダーと貯金箱

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。開業1年目の売上に対する支払いは、2年目に3つまとめて届きます。

1. 所得税(2月16日から3月15日)

所得税の確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までに行います。期限が土曜・日曜・祝日にあたる年は、次の開庁日にずれます。たとえば令和7年分の申告・納付の期限は、令和8年3月16日(月)でした(国税庁)。

2026年に開業した方であれば、2026年分の申告は2027年の春に行うことになります。1年分の所得税を、この時期にまとめて納めます。

2. 住民税(6月ごろから)

住民税は、前年の1月1日から12月31日までの所得で計算されます。所得割の税率は所得に対して10%、均等割は4,000円で、これとあわせて森林環境税1,000円が徴収されます(総務省)。都道府県や市町村が自ら税率を定めている場合もあります。

確定申告をすると、その内容が市区町村に伝わります。開業1年目の所得に対する住民税は、2年目の6月ごろに納税通知書が届き、何回かに分けて納めます。納期は自治体ごとに決まっているため、届いた通知書で確認してください。

3. 国民健康保険料(6月ごろから)

国民健康保険料は、世帯の所得などをもとに、市区町村ごとの決まりで計算されます(厚生労働省)。こちらも、開業1年目の所得が反映されるのは2年目からです。会社員時代の給与や、開業前の収入が低かった方ほど、2年目の上がり幅が大きく感じられます。

金額の目安は、お住まいの市区町村の窓口やホームページで確認できます。

売上が伸びると予定納税も始まります

さらに所得が増えてくると、予定納税が加わります。予定納税基準額が15万円以上になる方は、その年の7月1日から7月31日までに第1期分、11月1日から11月30日までに第2期分を納めます(国税庁)。

予定納税は前年分の所得税をもとに決まります。そのため、開業1年目に通知が届くことは通常ありません。早い方だと、1年目の申告を終えた2年目の夏から対象になります。

消費税は当面かからないことが多いです

消費税は、基準期間(個人事業主の場合は前々年)の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として納税義務が免除されます。ただし、適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を受けている場合は、売上の大きさにかかわらず納税義務があります(国税庁)。

開業1年目は前々年の売上がないため、インボイス登録をしていなければ、原則として消費税はかかりません。

1年目のうちに、残しておく

2年目の春から夏は、所得税・住民税・国民健康保険料が重なります。住民税の所得割だけで所得の10%です。ここに所得税と国民健康保険料が上乗せされます。

そこで、1年目のうちから、もうけの一部を使わずに残しておくことをおすすめします。生活用の口座とは別に、支払い用の口座をひとつ作っておくと分かりやすくなります。指名が増えて売上が伸びた月ほど、残す額も増やしておきましょう。

開業1年目のカレンダーとチェックリスト

ここまでの内容を、時期順に並べました。手帳に書き写して使ってください。

時期やること
開業前準備にかかった費用のレシートを保管する(開業費になります)
開業した月開業届と青色申告承認申請書を用意する
開業から2か月以内青色申告承認申請書を提出する(1月16日以後の開業の場合)
毎月売上と経費を記録し、レシートを月別にまとめる
毎月国民年金保険料を納める(納付対象月の翌月末日まで)
12月ジェルやチップの在庫を数える(棚卸)
翌年2月16日〜3月15日確定申告と所得税の納付
翌年6月ごろ住民税の納税通知書が届く
翌年6月ごろ国民健康保険料の通知が届く
翌年7月・11月予定納税(対象になった場合)

そのうえで、今日からできることを5つにしぼりました。

  • 青色申告承認申請書を出したか、控えを確認する
  • 開業前のレシートを1か所に集める
  • 仕事用の口座とカードを、生活用と分ける
  • 10万円以上で買ったものをメモに書き出す
  • 2年目の支払いに向けて、もうけの一部を別口座に移す

よくあるご質問

開業届をまだ出していません。今からでも間に合いますか?

2026年1月1日以後に開業した場合、開業届の提出期限は、開業した年分の確定申告期限までです(国税庁)。まだ期限内である可能性が高いので、気づいた時点で提出しましょう。ただし青色申告承認申請書の期限は別に決まっています。こちらは1月16日以後の開業なら開業日から2か月以内なので、あわせて確認してください。

業務委託サロンで働きながら、自宅サロンも始めました。1年目の扱いはどうなりますか?

業務委託の報酬も自宅サロンの売上も、ひとつの事業として合計して申告するのが一般的です。経費も両方まとめて集計します。契約の内容や働き方によって扱いが変わることがあるため、迷ったらご相談ください。

開業1年目が赤字でした。申告しなくてもよいですか?

赤字でも、申告しておくメリットがあります。青色申告をしている方に純損失が生じた場合、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年分の所得金額から差し引くことができます(国税庁)。開業1年目の赤字を、2年目・3年目の黒字とぶつけられるということです。開業費を任意償却で残しておく選び方と組み合わせると、より効きやすくなります。

制度の考え方や運営については運営者情報もご覧ください。

※この記事は一般的な取り扱いをまとめたものです。制度は改正されることがあります。ご自身のケースについては個別にご相談ください。

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